<よかネット>No.68 2004/3
←前 次→
|
和菓子産業もソフト化・サービス化を高めないと生き残れない |
| 叶匠壽庵(かのうしょうじゅあん)・「寿長生の郷(すないのさと)」を13年ぶりに訪れた。 最初に来たときは長崎県内の住宅開発内の河川敷公園において、四季折々の花をメインとした公園づくりの参考にしたいと思い、役場の方と一緒に今年と同じく2月初旬ごろ訪れた。しかし、あいにく雪景色で、また時間もなかったことから、ゆっくり散策できなかった。是非、もう一度来て、ゆっくりと見学してみたいと思っていた。 「寿長生の郷」は、滋賀県大津市にある。JR東海道線の石山駅で降り、タクシーで15分ほど走り、のどかな集落近くの丘陵地にある。6万3千坪の敷地内の一部に工場、和菓子売場、お茶席、食事処などがあり、栗やクヌギなどの原生林の中に城州白梅1,000本、牡丹3,000株、柚100本、椿などが植えてある。ここでは、四季折々の草花を楽しみながらの散策と、自然の中でゆったりと食事やお茶を堪能できる。 元々、叶匠壽庵は、昭和33年に大津市役場を退職した芝田清次さんが創設した和菓子屋であり、昭和60年にお菓子工場建設と一緒に創られたファクトリーパークである。 ここでは、先ず入り口近くにある民家を改造した案内所でお茶のもてなしを受けることができる。前回の訪問でも感じたことであるが、従業員の方は、この場所や環境をアピールするだけで、決して本業の和菓子をPRをしないのである。しかし、お客はここの雰囲気と接客に酔い、お菓子を買っていく仕掛けとなっている。当日は、平日であったことから入場者も少なく、案内の人からいろいろとお話を聞くことができた。 ●女性トイレを拡充 今、観光地のどこに行っても中年の女性客と高齢者が多い。時間と小金を持っているので、中年女性と高齢者を抜きにしては、どんな商売も考えられない時代である。ここ寿長生の郷でも、最近ではファミリー層も増えてきたらしいが、やはり主流は3〜4名の女性客であり、8〜9割は女性客であるらしい。 お菓子売場の玄関先に設けられていたトイレは、当初男女別々にあったのだが、今は女性専用に改造されており、男性用は建物の裏側に追いやられている。 年間の利用客数は約7万人とそれほど多くないが、行楽日には観光バス10台ばかり来ることもあるらしい。 しかし、観光バスといっても旅行者が企画した寄り合い観光客が主流であるらしく、以前の団体でのお客は減っている。 ●食事も女性が好みそうな 少量20種類以上の品数 ここでの食事は11時と13時の2回制で、原則予約制となっている。当日、私たちグループは予約していなかったが、運良くお客が少なかったこと、早く到着したことから予約をすることができた。 1時間ほど、民家案内所での話と園内の散策を終わったあとに、おしゃれな民家風の建物内で食事をとった。既にテーブルには手づくりの竹筒に椿一輪と枝に予約カードが架けられており、なかなか心暖まる演出効果である。 私たちが注文したのは4千円の弁当とお抹茶コースで、弁当の中身は、少量のおかずが20種類以上付き、デザートとしてマンゴープリンがあった。 最初、量的には少ないようにみえたが、食べてみると結構お腹いっぱいとなり、全員納得していたようである。 ●製造に係わる従業者率は1割の産業 叶匠壽庵の製造工場は、この「寿長生の郷」一箇所で賄っており、ここで創られた和菓子が各販売所に届けられる。 叶匠壽庵の従業員数は、パートを入れて約450名で、直接製造部門に係わっているのは45名(パート20名程度)という。和菓子産業といっても製造に直接係わる従業者比率は1割の産業であり、残り9割の従業員は、経理、販売、「寿長生の郷」での接客サービスと、そのほとんどがサービス業に携わっている。 自動車産業でも直接、工場で働いている人は1〜2割であると聞いたことがあるが、和菓子産業でも同じようである。 つまり、現在のモノづくりでは、企業化し、付加価値を高めようとする場合には、やはりソフト化・サービス化へとシフトしないと生き残れない時代であるともいえる。 (やまだ たつお) |
←前 次→