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30年前から始まった |
| 9月下旬、協同組合地域づくり九州の研修旅行で熊本県阿蘇郡産山村の民宿村に泊まった。この民宿村は今から30年前に地区の農家が一斉に始め、以来口コミでじわじわとお客さんも広がり、今も5軒が営業している。「8軒が一斉に初めて今も続いている民宿」、「自慢の漬物が30種以上食べられる民宿」というウリは本当かどうか見に行った。 ●農家が始めた熊本県内でも古い民宿 大分県との県境にある産山村は、久重山と阿蘇外輪山の麓標高750mの高原地帯にある。宿は、池山水源(環境庁の名水100選)から約2kmの場所にあり、水源から流れ出る川沿いにある。その水で育った米が黄金に光る田んぼとススキ。案内板がなければ、ここに6軒の民宿があるとは気づかないような、のどかな農村風景の中に建っている。 この民宿村は、昭和47年に地元の農家の方々が一斉に立ち上げた。きっかけは昭和39年に大分県別府市の九州横断道路入口から湯布院町、久重を通って熊本県阿蘇郡一宮町を結ぶ幹線道路「やまなみハイウェイ」の全線開通による。 「すぐ近くの道を観光客が素通りしていく。近くには池山水源もあるのだからどうにかしてお客さんを呼ぶことはできないか」ということで田尻地区の有志の方が呼びかけたところ12戸が賛同し、そのうち昭和47年に8戸が民宿としてオープンしたそうだ。現在は、5軒が営業している。 ●お客さんが増えるとともに少しずつ広げてきた 当初からありのままにあるものを出すという方針で営業を続けられているそうだ。宿に入ると、少しずつ広げてこられたのかなという様子がうかがえる。私が泊まった部屋と他の人が泊まった部屋は増改築をしたこともあって趣が違っていた。また、私たちが食事をした食事処は、昔から家族が団らんしていた民家の居間という雰囲気が残っていたが、それとは別に囲炉裏の食事処もある。 宿の人にお話を聞くと、「少しずつお客さんが増えてきたのでここから先は増築しています。昔は鍵もなく、ふすま一枚を挟んで違うお客さんが部屋を使ってましたが、近年はきちんと壁がある個室が良いという要望が多くなったので間に壁をつくって個室にしたんですよ」と言われた。 お風呂は露天風呂と貸し切りにできる内湯があり、3年前に新設したそうだ。これは近くの温泉館から引いている。 ●産山の自然が育んだお米がおいしくておかわり 食事の際は、名物の漬物が30種類ほど小鉢に並んでいる。赤牛、山女魚などボリューム満点の料理。なんといってもきれいな水が育んだお米がとてもおいしいとみんな口々に言っておかわりをしていた。デザートのおはぎ(ぼたもち)は小豆とお米のほのかな甘さがおいしくペロリと胃袋に入った。 グリーンツーリズムという言葉が出る以前から、地域で民宿を始めた田尻地区。リゾート開発、バブルの流れで身の丈以上の投資をすることなく、お客さんは口コミでじわじわと広がってきたそうだ。設立当初からほとんどの宿が続いているのは農家民宿としてそこでとれたもの、あるものを大事にしてきたからだと思う。当日も若い人や中高年の夫婦グループと幅広い年代の人が泊まっていた。 (あいこう みほ) |