<よかネット>No.64 2003/7
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都市のルネッサンスを求めて |
| 本書は、日本政策投資銀行設備投資研究所が「Economic
Affairsシリーズ」として企画・刊行している本の一つである。 編者の一人、前田さんは政策投資銀行の前身、開発銀行時代に福岡に赴任されていた。当時はあまりおつき合いは無かったのだが、福岡に出張で来られた時に、現在福岡で勤務されている鍋山さんから連絡をいただきお会いして話をする中で、九州地域だけでなく、地方の主体的な活動に非常に興味を持たれていたことを覚えている。 さて、この本の内容だが、表題にある「社会的共通資本としての都市1」というのは、国内外の具体的な事例が紹介されている「実例編」であり、パート2が「理論編」となる。 このパート1では、欧州都市再生における事例として、公共空間、車社会、ゾーニング、地域公共交通、さらに廃棄物処理、資源循環等、今欧州で取り組まれている都市再生の様々な切り口が紹介されている。都市再生の産業面からの切り口として、シリコンバレーと札幌の比較が行われているが、都市は「知を生み出す生態系」であり、「実体験のネットワークとしての都市」づくり、基盤づくりの必要性が指摘されている。国内の事例では、社会的共通資本としての町並みの保存、日本社会の基礎的な部分としての「農村」、自然環境、文化等を維持するため地域の試み、そして国際的な自然遺産である「阿蘇の草原」を保全するための都市住民との連携など、都市の復活と農村の再構築のあり方について述べられている。 アメリカ的な発展形態が限界にきている今、21世紀型の都市、地域の発展に求められているのは、「人間的」「社会的」「自然的」なものであり、すでにヨーロッパでは1990年代からそういう運動が息吹いており、日本においては農村との連携、都市との「関係」の再構築が重要になっている。例えば「食の安全」「環境保全」「コミュニティの維持」等、様々なテーマがあるが、いずれも20世紀にまっしぐらに突き進んできた成長・発展という名のもとに開発が進められてきた結果、今我々に残されている借金ではないだろうか。これを返済していくために皆で知恵を出していかなければならないし、この借金を棒引きできるような「知」はないだろうなと、この本を読んで思った。大学の「知」ばかりに期待するのではなく、みんなが頭の汗をかかなければいけない。 (山辺 眞一) |
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