<よかネット>No.64 2003/7
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所 員 近 況

■NPOが会員に支給する交通費とは
法人の取得には定款が必要である。もちろん、法人格の取得とは関係なく、独自に定款やそれに準ずるものを持っている組織もある。定款自体は組織の目的などの方向性や基本的な柱となる部分を示すものであって、実務上はもっと細かいルールが必要になって、内部規定ができたり、不文律みたいだったりする。
昨年の暮れに、地域づくりの市民グループ、グラウンドワーク福岡が特定非営利活動法人となった。定款は数年前に定めており、法人格取得に際して手直しをした程度である。グラウンドワーク福岡は組織体制が結構複雑(いろんな人が役割を持って関われるようにするため)なので、定款と同時に運用細則も定めて、広報、教育、企画、総務などの専門委員会の体制などを書いている。
ところが、事務局運営をしていくには、さらに細かい内規が必要になってきた。現在2名いる有給スタッフの就業規定、会員の旅費規程、表彰に関すること、受託事業の会員への再委託に関することなど。
実は私、これらを作成する総務委員会の委員長を任されることになり、現在検討を進めている。
この中で、例えば旅費規程について考える。これはスタッフが出張などで外に出るときのものではなく、会員が集まりやすくするためのものである。通常は事務局のある福岡市内で会議を行うが、会員は福岡県内各地におり、南端の大牟田からは西鉄電車で片道1000円、北側の小倉からではJRの普通か快速で1250円、時間の都合で新幹線を使ったりすると2050円かかってしまう。これが福岡市内だと、職場の多い天神や博多から事務所までバスで200円前後である。
これは多分、広域的に活動しようとするグループには発生しがちな問題であって、会議を福岡市内の人たちばかりで進めていいかというとそうでもないし、基本はボランティアだから交通費は自己負担だと言っても、時間も金も使って来るので人によっては結構厳しい。
そこで、遠くの人には交通費の支援をしようということになった。では、どこからが遠くの人なのか。確たる根拠ではないが、およそ福岡都市圏の範囲の電車賃と、金額的にキリがいいので、片道500円以上を対象とした。支給額は500円を超えた分の半額ということで最初考えたが、計算すると結構せこい額で、これでは人集め対策にならんなあということで500円を超えた分の全額支給、往復分はその倍とした。
金額については、どこの地域はいくらという規程を作る案もあったが、バスを乗り継ぐような地域(実際には車で来る)もあって、それを作るのはかなり面倒そうだった。ということで、「最短の公共交通機関の料金を目安に自己申告」とした。
どの会議や行事を支給対象にするかという問題もあった。会の行事やイベントは県内各地であり、偏りが出る可能性はあるが一概に地域格差があるわけではない。一般参加者もいたりするので、これは対象外。結局、通常の定例会議や理事会等を支給対象とした。会議に参加する人数や回数はそんなに多くはないので、予算的には大した額にはならずにすむ。
近くても回数が多い人はどうするか等の意見もあるが、会員から要望が出れば考えるということで先送りとした。
NPO法人としてのルールは必要だけど、あんまりガチガチにしてもそもそも自主参加なんだし、手続きばかり増えてもいやだし、という中での内規づくり。やってみて文句が出ればまた考える、の繰り返しになるかも知れない。 (伊藤 聡)

■米の粒度を測りに九州大学まで
 ひょんなことから、九州大学の超高圧電子顕微鏡室のお世話で米粉の測定調査を行うことになった。米粉とは米の粉のことだ。
 私は、とある地域で米パン商品の事業化をお手伝いしている。最近は米パンづくりを古米や屑米の流通価格を支える取り組みとして注目する地域が増えてきた。米パンは米を挽いた米粉を材料とするが、各地で米パンが作られるようになっており、「パンに近い味がする」段階を超えた「米の美味しさがする」段階への工夫が必要になっているように思われる。
 そういうことに関わりはじめて、時折、自分でも試作をしているのだが、気になっているのは安定した米粉の確保である。
 米パンの先駆けといわれる新潟県食品研究センターが開発した特許技術は、米粉に水分を含ませて潰し、乾燥させて蒸気できりもみにして微細米粉を作るものだ。これでできる「40ミクロン以下。丸い形状」というのが、米パン用米粉の一つの基準のようにいわれる。ところが、その設備は作れば数億円単位といい、この特許でライセンス生産を行う新潟の製粉会社に加工委託したり米粉を購入してパンを作れば、売れる値段にならない。
 そこで全国各地で様々な製粉技術とパン生地づくりの工夫が行われるようになり、成功したケースも少しずつ出てきた。私も製粉加工技術をもつ工場や研究者、生産者に会い話を聞いている。
 九州大学の顕微鏡で調べたかったのは、米パンにとって、米粉の粒の大きさや形状、粒の大きさごとにみた構成比など、実際にできあがる米パンの姿や風味・味わいと照らし合わせた、最適と思われる米粉の状態についてである。
 「九州大学で優れた顕微鏡があるらしいから行って覗かせてもらったらどうか・・・・」といってくれた上司の紹介で、米袋を下げて訪ねてみた。
 そこは九州大学の箱崎キャンパスの中にあり、少し分かりにくい所にあった。「顕微鏡室」というから小さな部屋かと思って呑気に行ってみると、そこは3階建ての建物で、建物の外部にも鉄管やら高圧空気の設備やらが詰まった何やら大変な施設だ。入り口近くの掲示板にはナノテクノロジーに関連した資料や学会に関連したポスターが数多く貼ってある。
 ここに来て、自分がとんでもなく場違いなところに来たことを後悔した。今から自分は最先端の研究機器(しかも国立大学の)を使って、こともあろうに米の粉を測ってもらう交渉を始めようというのだ。思わず米の袋を鞄にしまい込んだ。
 断られること確実と思いながら、お訪ねしたのは工学研究院材料工学部門にある超高圧電子顕微鏡室の金子賢治先生。
 ひとしきり来意を説明したが、先生の第一声は「40ミクロンは我々の扱う世界では巨大な大きさです。我々はナノの大きさを扱うんです」というもの。ああ、やっぱりダメだったと思っていると、「米は一般的にどのように挽いているのですか?」と先生が質問。それに答えると、物性のことや分子の組成のことを交えてどのように測定すればベストか解説して下さった。それに答えたり再び意見をうかがったりしているうちに、どういうわけか米の粉の測定をお引き受けしていただけることになった。
 ちなみに米の粉はナノの世界をみる高圧電子顕微鏡で観察する大きさではないので光学顕微鏡がよいとのことだ。同席していた研究員の藤昇一さん、文元振さんも交えてお話しをしたが、聞いてみるとここの超高圧電子顕微鏡は文部科学省が推進するナノテクノロジープロジェクトの啓蒙活動で様々な活躍の場面が期待されているものだという。学内外から様々な測定の依頼が寄せられている。
 今回のような米パンのための米粉という農業食料分野における相談は初めてだとのことで、そういう点で私は幸運だった。
 「地域振興に役立てて下さい」とはありがたい言葉である。
 測定に関してご協力いただく代わりに、この施設でどのようなことを行いどのような成果がもたらされたか、簡単な研究報告書を文部科学省に来春提出することが必要となる。ユーザー登録と研究申請書を提出した。いずれにしても、米粉をこういう形で計測して、もし研究成果としてまとめることができるならば、いろいろと地域に広めていきたい。          (尾崎 正利)

■都会の若い核家族は孤立しそうで大変だ
 私の知り合いに学生の間に子どもができて結婚をした友人がいる。ふたりとも学生だったので、たしか友人が22歳で奥さんが19歳の時だったと思う。その彼と最近あったのだが、家庭が社会から孤立しそうになっているという話を聞いた。
 結婚してすぐに彼は設計の仕事を始めたのだが、夜遅くまで仕事があり、会社の人に飲みに誘われても家庭があるためつきあいがどんどん少なくなった。奥さんも学校を辞めて専業主婦になっているから、親戚や高校時代などの友人以外のつながりがなく、子どもが小さいから外にも出れず、育児のストレスのはけ口を旦那に向けるしかない。二人とも怒りやストレスを発散する場、悩みやグチを聞いてくれる人とのつながりがなくなってしまったそうである。彼等は社会に出ると同時に核家族を形成したために個族にはならなかったが、核家族になることでかえって孤立しかけていた。
 子どもが保育園に行くようになって、子どもを通じた知り合いができてきたそうだが、子ども以外に接点がないから父親同士の交流はあまりない。そのころから彼は家庭の外にも、新しいつながりを持つことが必要だと思うようになったそうだ。
●核家族もネットワークに飢えている
 私は社会に出て個族になって3年目だが、ひとりだと週末が寂しいので、劇団に参加してみたり、着物の着付けなど変な活動にちょくちょく参加しているおかげで楽しい生活をおくれている。自立なんてとてもまだまだだが、ふと孤独なときに、自分が何をしたいのか、できるのか、などと考える時間がある。個族でいることが、社会にでてから自立するまでの“自分の生き方模索期間”、“自立準備期間”として役立っているように思う。
 青壮年がネットワークを広げられる場になっている「モンブラン倶楽部」(よかネットNO.58号参照)に彼を連れていくと、さっそくママさんの畑でのじゃがいもの収穫を手伝いに、子どもといっしょに来ることになった。子どもにいろんな体験をさせたいのだが、知り合いもいないので、なかなかそういう活動に参加するチャンスもなかったそうだ。着物の着付けにもくるといっていた。家族が社会から孤立しないように、新しいネットワークを広げるチャンスを探しているから行動もすばやい。ネットワークやつながりの必要性を意識している人は違うな、と感心してしまった。
●若い人は、孤立しないためにもっと多様な付き合いに参加した方がいいのではないか
 彼は畑仕事には4歳の娘さんを連れて来ていたのだが、最初のうちは土に汚れるのを嫌ったり、虫におびえたりしていた。集まっているメンバーも独り者や年輩の夫婦、耳が不自由な方等世代も仕事も異なる多様な人たちだったので、とまどいも感じていたようだ。しかし、いつの間にやら小学校3年生ぐらいの女の子が良きお姉さんになって、仲良く手をつないだりして草取りなどをしていた。耕作作業のときは、疲れて休んでいる年輩の方が子どもたちをみてくれていた。家族だけで遊びにいくと、子どもが何をしているかをずっと見ておかないといけない。気が抜けないので疲れがたまるのだが、今日はいろんな人が見てくれているので、非常に助かった、と彼はいっていた。
 同世代間でひさびさに会っても、どうしても友達同士だけで安い居酒屋で飲んだり、カラオケで歌うくらいで、ワンパターンな行動になりやすく、飽きやすい。私が独身でなければ、みんな家庭の愚痴ばかりになって飽きてしまうのではないかといっていた。同世代の付き合いは楽しいがそれだけで完結しやすく、つきあいの幅が広がらない。彼とはときどき会っているものの、子どもに会うことすら3年ぶりだった。私などのような青年層は社会でのつきあいがまだまだ少ないので、意識していないとすぐにネットワークが切れてしまう。ひとつのネットワークを強固に守るのは、なかなか難しいので、いろんなネットワークを重ね持った方が、つながりが切れにくくなり、ネットワークが長く続くのではないだろうかと思った。
(本田 正明)









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