<よかネット>No.63 2003/5
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田園居住を実現するためのしくみづくりを考える
           本田 正明

田園楽住の会がついにスタート!
 よかネット61号で呼びかけた「田園楽住の会」の初会合をアクロス福岡の久留米大学サテライトオフィスで行った。西日本新聞でも取り上げてもらったおかげで、東京から移り移り住みたいと考えている人や糸島の海岸近くにあるぼろ小屋を半年かけて改造し田園暮らしを実践している人など23名が集まった。
 会の主な議論は以下のようなことだった。
・空いた農家を借りたいけれども都市住民には情報が出てこない
・農家は、土地を売ることよりも貸すことの方が抵抗があるので、定期借地権はなじみにくいのではないか
・土地利用を農地のままで開発するのは難しく、地区計画などの都市計画をもっと考えることが必要になる
・農家の人とのつきあいを増やして、信頼を得られる人に土地を貸してもらうというようなことができないか
・田園楽住に参加してみたいという農家と、仲間として付き合うことをやってみよう
 私は当初、居住希望会員はなかなか集まらないのではないかと思っていたが、「田園暮らしをしていても、周りに知り合いがおらず寂しいので10軒ぐらいで集まった暮らしがしたい」などといった思いのある人が多く集まっていたので、非常にうれしかった。会員たちのつながりで、居住希望会員を100人に増やそうということになったが、すぐにでも集まりそうな感じがする。
 ただ、実現に向けて一番問題になってくるのが、やはり農家の人にどう参加してもらうかということである。福岡都市圏にある志摩町のある地区では、田園居住のイメージを「高級住宅地ができるのではないか」、「そうすれば廃棄物を埋め立てた土地が売れるのではないか」といった変な期待感だけが高まってしまっている。
 今後はそういった人たちともいっしょに議論をして、田園居住はそんなに儲かる話ではないが、いろんな人とつながりもできて豊かな地域づくりにつながるよ、といったことを理解してもらい、それでも興味があるなら会に参加してもらうといったことをやっていく必要があると思う。

●どうやったら長続きする里山づくりができるか
 田園居住では、人とのつながりや家づくり、畑などの菜園・庭づくりなどに関心を持つ人が多いが、もう一つの要素として荒れたミカン畑などを里山としてどうやって保全していくかということも、田園居住を考える上での大きなテーマになっている。
 家づくりや畑づくりなどは田園楽住の会や建築家や農家のサポートで個人個人がなんとか実現できるのではないかと思う。しかし、里山保全や管理となると自分の借りる土地だけでなく周辺地域と一体となった環境づくりが必要であり、そうなると組織的な活動がいるようになる。
 だが、その里山保全の活動を行うにしても、どういったところから活動資金を得るかについてはなかなかイメージできない。これから市町村の経済状況が厳しくなる中、補助金に頼るような活動では、なかなか続かないのではないかと思う。 里山づくりは10年、20年といった長い時間がかかるもので、活動は細々でも“続けていくこと”に意味があると思う。ただ、里山を再生することによるメリットが一体なんなのか、そのメリットを誰が受けるのかといったことがわかりにくい。自分が田園居住をしたとして、そういった活動に資金を出して里山の管理を誰かにお願いするか、といわれれば悩んでしまう。できる範囲で里山保全や管理を自分でやってみたい、でもお金を払ってまで頼む程でもないな、というのが本音である。そこで里山保全や管理を教えてくれるようなところはないかといろいろ探してみた。

●里山づくりの活動は増えている
 里山づくりにつながるような活動はいろんなところに生まれつつあるようだ。
 久留米では造園などの生産業者が毎月1回、平日の夜に集まって、全国的に森林再生活動をしている人を講師に招いて自然配植技能者養成講座なるものを開いている。これまでのように工業型で、大量生産的で地域性のない苗木をつくったりするのではなく、地域の気候や土地の条件にあった植栽を生産者から提案していくようなことをやっていこうとしている。
 九州大学が移転する西区元岡の新キャンパスでも、緑あふれる豊かな環境を創ろうと学生たちがNPOを立ち上げている。森林資源の保全活動も楽しみながら行わないと長続きしないと、除伐した竹を使って笛づくりをしてみたり、ネイチャーゲームを行ったりしている。ただ、どちらの活動も始まったばかりで、活動資金を助成金に頼らざるを得ないなど、課題は多いようである。
 そんな中、ある本で「好きなことをして、そこそこ儲けて、いい里山をつくる」というおもしろいキャッチコピーで活動をしている「里山倶楽部」というNPOを見つけたので、どんな活動をしているか話を聞きに行ってみた。
 このNPOは、関西都市圏に住む人を中心に250人ぐらいが参加していて、大阪府の南河内町をフィールドに里山づくりのための講座や米づくりといった農業の講座など、26もの事業を展開している。おもしろいのは、その事業のうちNPOが直接関わっているのは「里山の学校」という基礎講座だけで、それ以外の25の事業は里山の学校の卒業生たちが起こして、独自採算で運営を行っていることである。「里山の学校」という場を通じて、里山づくりのリーダーが生まれているのである。 講座の受講料もそれぞれでまちまちだが、「里山の学校」は年6回開催で年間通し受講で37,000円である。けっこうな値段だと思うのだが、都市部の人で40歳よりも若い人たちがよく集まってくるそうである。

●田園居住の予備校みたいなものができないか
 田園楽住の会は、できるだけ若い人も参加できるようなプランにしたいという思いがある。今のところ私が26歳で最年少の会員なのだが、田園居住の実現に向けて、気がかりなことは、私のような世代は生まれた頃から団地暮らしで、農業に関する世間常識を知らなかったり、農業も体験したことがないので、道具の使い方も知らないということである。
 できれば里山倶楽部のようなところで、田園居住のための最低限の知識と技能を学べたらいいのになぁと思ってしまった。逆に里山倶楽部の事務局をしている大塚さんに田園楽住のパンフを見せて、「里山倶楽部の会員はこんな暮らしに興味を持ちますかね」と聞いてみた。するとすぐに「興味持つ人はいっぱいいますよ。会社辞めてまで、田園暮らしをしようとしている人もいますよ。実はうちでもこんなことをやってみたいと思っているんです。」とのことだった。田園居住にあこがれる人と里山づくりなどに興味を持つ人たちは、なにか共通する思いがあるようである。
 田園楽住の会は田園居住の事業を行うための会であるが、そのステップに届く前の訓練期間があった方が、若い人は参加しやすいのではないだろうか。ただ、その場合にも訓練を行う“場”が必要になってくる。里山倶楽部では久門さんという自給循環農業を実践している方が“場”を提供してくれているそうだ。やはりそういった理解者を捜していくことが、田園居住の実現に向けた課題になりそうである。誰かこんなことに付き合ってくれそうな農家や地主さんを知っていたら教えてください。    
(ほんだ まさあき)









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