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協同組合 地域づくり九州まちづくりセミナー
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| 協同組合地域づくり九州では、昨年、第3センターや公社、さらには公民館活動や社会福祉協議会などの公的企業体を対象に、その経営状態や今後の財政見通しなどについてのアンケート調査を行ったところ、最も関心が高かったのは「土地柄を生かした産業起こし」であった。 そこで、協同組合では、アンケートに協力いただいた公的機関の方の要望に応え、また、公的機関の方や賛助会員の方との交流を図るために「土地柄を生かした産業起こし」を実践し、元気の良い地域の代表である「黒川温泉」での現地セミナー(11月21〜22日)を企画した。 セミナーの一日目は、黒川温泉繁盛物語の開拓者である新明館社長の後藤さんに、黒川温泉繁盛のいきさつなどをお話していただき、二日目は後藤社長自ら現地を案内していただいた。 現地をウロウロしながら、木の植え方、景観の作り方、お客のニードなど2時間たっぷりお付き合いしていただた。 黒川温泉の話は、よかネット49号(2001・1月)に掲載しているが、今回のセミナーで改めて知り得た話、感動した話をご紹介したい。 ●「旅館改造のお金を借りたければ、後藤社長に相 談したらよい」という話 私は、昨年から大分県玖珠町で街なみ環境整備事業のお手伝いしている。その事業の関係者が集まった協議会の休憩時、たまたま隣にいた地元の建築士の方に、何気なく「今度、黒川温泉でセミナーをやり、後藤社長にしゃべってもらんですよ。お暇だったらどうでしょうか。」と投げかけると、なんと次のような意外な返事であった。 「ついこの前、ある旅館の改造の設計と工事をしたときに、後藤社長にお世話になったのですよ。 オーナーが銀行から改造資金を借りようとしたところ、銀行側から『黒川の後藤社長に相談すれば、金を貸します』という話で、半信半疑だったが、本当に後藤社長にお願いすると金が借りられたのです」。また、建築士の方は「本当に後藤社長が現場に来て木を植えるのだが、あの人が植えると不思議と自然に見えるんだようなあ!」と感心しきった様子で語られた。 銀行は物的担保でしか金を貸さないものと思っていたのであるが、後藤社長のお客さんを喜ばせる雰囲気づくりや旅館経営といったノウハウが担保になるということを初めて知った。このように銀行がソフト的なもの、信頼がもてる人を担保として金を貸すということを、もっと積極的にやれば、地域産業にとっても良くなり、景気も上向きになると思うのだが、いかかであろうか。 セミナーで、この担保の話を、後藤社長本人に確かめると「本当です。私がお手伝いするというと3〜4千万円は貸してくれるよ」とあっさりと言われた。 ●入場手形売り上げ180%増なのに、怖い悲鳴 黒川温泉で有名なのが、入湯手形(シール3枚付き)である。1,200円の手形(旅館はシール1枚につき250円を組合から受け取り、組合は200円の収益、製造費250円)を旅館組合から購入すると、黒川温泉24件のうち露天風呂を設けている旅館の中から好きなところ3箇所を選んで入湯できるというシステムである。この入湯システムが旅館組合の主要な収入源となっており、また、このシステムで浴衣を着た女性客(男性客より、やはり女性客だそうだ)が温泉街をウロウロしている風景が、温泉街を生き生きしたものにしているという効果もあるようだ。 この入湯手形の売り上げが、昨年より180%増えているが、この理由が黒川にとっては非常に困った話なのである。 後藤社長の話によると、最近、増えすぎた入湯手形にうれしい悲鳴ではなく、怖い悲鳴を上げているのである。 それは、黒川温泉周辺に泊まる団体客に旅行エージェントが黒川温泉の入湯手形付きでの営業をしていることが、入湯手形の大きな増加の一因らしい。このために黒川温泉の泊まり客とバッティングし、泊まり客がゆっくりお風呂に入れないといったことも起きているらしく、黒川温泉の魅力低下になってきている。この入湯手形をあてにしている旅館もあり、どのように改正していくのか、もっか旅館組合での悩みの種らしく、解決案はまだ出ていない。黒川温泉の露天風呂では、温泉を楽しんでもらうことを趣旨としているため、石鹸もおいていなく洗い場も狭く作ってあるので、周辺旅館の団体客の方は、石鹸もなく、サービスも悪いといった勘違いのよからぬ評判もたっているらしい。(ただし、宿泊客は内風呂もあるため、ここでゆっくり身体を洗える。) ●組合事業での利益を、さらなるまちの魅力づくりへ投資 2日目の後藤社長による現地視察で、特に印象深かったことを列記したい。 ・組合の利益を環境整備にあてており、民地で道 路沿いに面したスペースには、環境美化のため に後藤流(阿蘇の山々の自然林の風景を模した植え込み)の木々を植えている。 ・民家の風景を統一するため、白と黒をベースに壁と屋根の色を塗り替えてもらうようにお願いしている。 ・この黒川の入り口にある案内板は、わかりにくく、車が立ち止まって危ない。旅館もお店も一緒にして、かえってわかりにくくなっている。 ・ただ看板をつければよいというものではない。 旅館組合が業者任せにしていると、鉄板製の看板をつけようとしたので、止めさせた。黒川は自然を売り物にしているのだから、やはり木の 看板にしないといけない。板をつけようとした。 ・高木は1本で植えては駄目で、2〜3本密植しないと自然な感じがしない。また、椿などは並べてしまうと生け垣になってしまい、感動を呼ばないが、高木の下で1本あると感動を呼ぶなどの後藤流自然再生の教えを少しだけ伝授していただいた。 ・黒川に来たお客さんが、ここのガソリンスタンドはおしゃれですねと感心するらしい。 単に角に木を自然に植えたことが雰囲気を変えている ●観光地化しすぎて湯布院の街並みみたいになってほしくない 旅館組合では空き地や斜面地を購入、あるいは借りている。この用地を駐車場に利用したり、木々を植えて、さらなる黒川に環境アップにつなげている。このように組合が空き地を購入することは、東京や福岡の資本が入ってきて黒川に関係ない変な店ができるのを防いでいるようだ。 私が常々、湯布院の街並みをつまらなくしているのが、地域に関係ない変な店が多いことであると思っている。観光地化すると外部資本が入ってきて地域の情緒を壊していまうのは常である。黒川だけは湯布院みたいになってほしくないという思いがあったために、この組合の土地購入の話は非常に感心するとともに、やはり湯布院のマイナス面を参考にした黒川の先をみた取り組みである。 後藤社長がしきりに「どこの旅館も今は組合なしでは成り立っていかなくなった」と言っておられた。これも旅館組合が儲かっているからこそ、役場に頼らず組合独自で黒川温泉の魅力アンプにつながる先手の事業ができるからである。手がける事業が、また、さらなるお客を呼ぶという好循環になっているようだ。 しかし、さきほど述べた入湯手形問題、旅館個々の質の違い、車の処理の問題など、これからの課題にどのように黒川が応え、魅力づくりをしていくか楽しみである。 (やまだ たつお) |