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鮮やかなオレンジと緑の表紙でぱっと目をひくこの本は、老人介護をするときのちょっとした工夫や視点を自らの体験をもとに楽しく分かりやすくパワフルに書いてある。現在介護に携わっている方、これから介護をする方に役に立つだけでなく、自分の健康や老後にも関心が湧いてくる本である。
この本を書かれた坂口さんは、福岡市で健康相談を主体にした薬局を経営される傍ら、ご近所介護クラブ「ゆいまーる」を作られた。2年前、実のお母さん(ニックネーム:バッキー)が大腿骨を骨折して寝たきりになってしまった。老人ホームに預ける話しも出たが「亡くなってから後悔したくない。我が家にもいない、故郷にもいない母は私にとって母ではなくなってしまう。」との思いで、岩国から引き取り在宅介護をする決意をされた。
自宅に引き取り介護保険の申請をしたところ、要介護度5級に認定され痴呆も確認された。痴呆のお母さんとのつきあい方が分からないうちは、体重が7sも減り、夜は精神安定剤を飲んで無理に寝るほど体が持たず、自分が先に死んでしまうのでは?と思ったそうだ。
しかし日々の介護のなかで、痴呆があるお母さんの目線に合わせるとコミュニケーションがうまくいくことを発見し、介護をする部屋のインテリアを自分好みにして介護者自身が楽しく過ごせるように工夫したり、
夜の睡眠や排泄などに薬を上手に活用したり、介護サービスを最大限利用して、お互いを尊重するような介護をされている。
坂口さんはお仕事でも実践されている、日本創建会金子卯時雨先生の「活きるための七つの条件」
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活きるための七つの条件 金子卯時雨
一 、環境がなければならない
一 、生活体がなければならない
一 、神経(心)が働いていなければならない
一 、呼吸をしていなければならない
一 、水分を摂っていなければならない
一 、食物を摂っていなければならない
一、 動いていなければならない
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を応用した介護をされている。介護をはじめた時は瀕死の状態であったお母さんは、今歩くことこそできないが自分でご飯を食べ、排泄も知らせてくれるほどに復活された。歌を歌うことが大好きでだれかれ関係なしに話しかけるお母さんの様子は、文中のイラストやたまにページの端に出てくる「バッキー名言」(例:「明日はないと思って、精一杯生きてね」と坂口さん。バッキーより「明日はないと思って、精一杯介護せーよ」と言われた。マイッタ。)から知ることができ、そのユーモアにふっと笑ってしまう。回復され、自分らしく活き活きと日々の生活を送られているのだなぁとこちらまで嬉しくなる。
私事で恐縮だが、2月に父方の祖母が亡くなった。私の家は、正月と盆の年に2回父の実家に帰省するという典型的な核家族である。祖母は、祖父が亡くなった後1人で暮らしていたが、近年は入退院を繰り返しながら父の妹の家にいた。最期の3カ月間は病院で過ごしたが、その間にいろいろなことを考えさせられた。寝たきりなので食欲がわかず、さらに弱ってしまうという悪循環。離れて暮らしているため、見舞いに行った後、病院にひとり残して帰らなくてはいけない。
何度かこちらにおいでと誘ったが、住み慣れた土地を離れることはなかなか難しかった。
しかし、私達家族が救われたのは、病院に入院する前の1カ月間、母が単身赴任で祖母との二人暮らしをし、祖母が自分の家で祖母らしい生活が1カ月という短い期間ではあったができたことだ。
坂口さんの家はいつでも人が集える家風だという。人が一番集うキッチンがお母さんの部屋ということもあり、人が来られても介護を家族の問題として閉ざすことなく、ありのままを見てもらっているそうだ。介護について考えてもらいたい。自分なりの介護方法を見つけて欲しいと書いている。
高齢者を取り巻く環境は、人それぞれ違う。この本は、できることをできるやり方で柔軟に介護をしたらいいというヒントや勇気をくれる。ぜひご一読いただきたい。 (愛甲 美帆)
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