<よかネット>No.57 2002/05
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佐賀城下ひなまつりに思う
本田 正明

 2月中旬から3月中旬にかけて、佐賀市で行われた「佐賀城下ひなまつり」を訪れた。今年は2回目の開催で、去年を上回る7万人の来訪者があり、また数多くのお店でひな料理を楽しめるようになっていた。
 食いしん坊である私は、いろいろ食べ歩きを行ったのだが、その中で来訪者から聞いたことや自分が感じたことを断片的だが紹介したい。


●「ひな料理」という規格製品
 ひなまつりで食べる物といえば、白酒や赤、青、白の菱餅、雛あられなどを想像する。私が、ひな料理を食べたどのお店でも白酒が出てきた。刺身が出てくるところも多く、どこでも見かけるブリやマグロがでてきた。他にも、天ぷらや茶碗蒸しが出される店も多かった。味は、どのお店もなかなかおいしいのだが、さすがになんども似たものを食べると飽きてしまった。
 初めのうち、ひなまつりは季節のイベントなので、リピーターのことを気にせずに、同じ物ばかり売っても、不平をいう人は少ないのだろうと思っていた。しかし、福岡市内から来ていた老夫婦から、「日田や柳川などのひなまつりにも行ってきたが、お雛自体は、地域で違いがあっておもしろいのに、ひな料理はどこでも同じようなものが出てくるのでつまらない」という話を聞き、短期間のイベントでも地域性を感じるものを求める人はいるのだと思い直した。
 お店によっては、食後のデザートなどに工夫を凝らしているところもあったが、料理内容がどこでも御膳と白酒と茶碗蒸しという同じパターンで出てくるので、見た目のたのしみも薄れているようだった。


●若い人がひまをつぶす場所が少ない
 若い人が貧乏なので、あまりお金を使わないのか、それともちょっと休憩したくなるようなセンスのよいお店が少ないためか、カップルなどは、「ひな料理ではなく普通のもので、おいしいものを食べたい」といっていたり、駐車スペースのあるチェーン店で食事をして、ひなまつりは見学だけを楽しんでいる人を何組か見かけた。
 食事はひな料理のお店選びに苦労するより、当たりはずれの少ないチェーン店で、手軽に済ますといった感じで、ひなまつりに食を求めてきている若い人たちは少ないようだった。実際にひな料理を食べている人を見ても、年配の女性グループや老夫婦などが多く、若い人のグループなどはほとんどみかけなかった。
 ただ、初孫の節句ということで、50〜60歳代のおじいちゃんおばあちゃんと、若夫婦とお孫さんという3世代で訪れているグループは、会場内の喫茶店でくつろいでいるところをしばしば見かけた。どうも若い人達だけで、ひまをつぶせるような場所が少なく、滞在時間が短くなっているようである。


●地元の人が自分のおひなを自慢するおもてなし
 ひなまつりは、もともと女の子が主人公になって、友達を呼んで、自慢をしながらおもてなしをするものだと聞いたことがある。また、現在は40歳ぐらいの年代を境に、ひなまつりをお祭りとして楽しいと感じていた世代が途絶えているという話も聞いた。佐賀のひなまつりを訪れている方の中にも、「なつかしいねぇ」と言っている年配の方を多く見かけた。しかし、私のような20代の世代には、ひなまつりは見た目の美しさや初めて見る喜びといった表面的な感動しか味わっていないようにも思った。
 ウインドウショッピングのように、おひなを眺めて回るイベントに、今後もお客さんが集まるか疑問を感じていたところに、あるグループに会った。彼女らは親戚の4人組で来ていたのだが、佐賀市内に住まれている方が、去年の佐賀城下ひなまつりに感動して、県内に住む親戚を招待して会場を案内しているのだった。会場を見回った後は、「3人を自宅に連れていって、自宅のお雛様を自慢しながら食事をするの。」と言っていた。「佐賀には、いいものがあるのだからもっと自慢してあげないと。」ともいっていた。 地元の人が、自分の出来る範囲でひなまつりにかかわり、自慢することで、PRとおひなの文化を広げているのである。
 今年のひなまつりのアンケートを見ると、地元(市内)から訪れている人が6割を越えている。ひなまつりは、今も身近なイベントなのである。今後、ひなまつりが続いていくためにも、身近に住む若い人たちがおひな自慢に参加できる環境がいるのではないかと感じた。            (ほんだ まさあき)


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