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「障害を持っていても自立した生活を送りたい」と願う障害者は多い。しかし障害者は就労の場を確保することが難しく、また就職できたとしても環境や人間関係で問題や悩みを抱えているひともいる。今回は働く障害者、働きたい障害者のサポートや情報交換拠点である「ジョブサポート」の所長・松本玲子さんにお話をうかがったのでご紹介したい。
●障害者が集まれる場所をつくろう
松本さんはジョブサポートを立ち上げる前は、入所授産施設で働いておられた。授産施設は障害者が就業に必要な技能を訓練し、社会に出て行く準備をする場所である。しかし就労の場が確保できず、入所者は施設で働き続けているというのが現実である。これではいけないと障害者が「自分の人生の主役になる」ことを目的とした自立プログラムを開始する。プログラムの内容としては、同じ敷地内の従業員アパートの空き室で1〜2人暮らしをしてみる、1年間取り組みたいテーマを各自決めて取り組む、そのテーマを達成するために毎月のプログラムを作成し取り組むといったことである。
そして2〜3年後、次のステップとして公団のアパートを借り施設の外で生活し、施設に通所することを始める。今まで一人暮らしなどをしたことがない人が多かったが、実際に施設の外での生活を始めてみると、共同生活の窮屈さ、我慢を強いられていたことなどに気づく人が出てきた。そしてこのプログラムがきっかけで自分でアパートを借り、通所で施設に通う人も出できた。これらのことを通して、障害を持つ人が施設や家庭だけではなく、年齢相応の生活(一人暮らしや結婚生活など)を選ぼうと思えばできる、それには大げさな仕掛けを用意しなくてもいい、という確信が持てたそうだ。
また施設にいたのでは限られたサポートしかできない、ということを松本さんが考え始めていたことから、授産施設で一緒に働いていた池田きよ幾世さんと、「障害者が働くとはどういうことか。働く環境は現状で十分なのか」を考える「ジョブサポート研究会」を1997年に立ち上げた。この研究会の中で、障害者の自立・就労などの課題について考える講演会を開催したり、障害者3,000人を対象にした「障害者の就労に関するアンケート調査」などを行ったりした。このアンケートを行うための費用は助成金などをもらえなかったため、松本さんと池田さんで負担したそうである。
これらの活動を通して障害者が働くためのサポート拠点が必要であると感じ、「障害者が気軽に集まれる場所をつくろう」ということで2000年4月、福岡市より補助金を受け作業所という形で「ジョブサポート」を開設した。「ジョブサポート研究会」は現在も続いており、月1回の会報の発行や講演会などを開催している。
●公共交通機関へのアクセスが便利で人通りの多いと ころにつくる
現在ジョブサポートで働いている人は25名。働く日数・時間等については、一人ひとり生活における「働く」ことの重みや障害の度合いなどが違うため、個別に相談しながら決めている。常勤スタッフ4名(1名は障害者)のほか、プログラム開発やホームページ作成、旅行の取り扱いについての専門家が5名いて、学習会をしたり、サポートする体制をとっている。この専門家のみなさんはそれぞれに仕事をする傍ら、定期的にジョブサポートにでてきている。
仕事は、旅行の相談・企画・取り扱い、プログラム開発、ホームページ作成、データ入力、テープおこし、バラエティーバザー、マッサージ、封入発送作業・加工作業、福祉機器・介護機器の相談、障害者の就労や生活相談等を行っている。データ入力やテープおこしなどが多いそうだが、利用者一人ひとりがレベルアップできるような仕事、ということになるとなかなか難しいとのことであった。
利用者はもちろん、相談に来る人にとっても公共交通機関へのアクセスが便利なところ、そして働いている障害者の姿を地域の人に見て欲しい、見慣れた光景になって欲しいという思いから、福岡市東区馬出の商店街にある空き店舗を借りている。最寄りのバス停・地下鉄駅から徒歩1分、JRの駅からも近く、市内だけでなく春日市や宗像市、古賀市などからの利用者にとって便利という評判だ(自分の車でしか通勤できない人も多く、駐車場も必要である)。近くには県庁や警察本部、大学病院などが立地していることから人通りは多い。ただ、今の場所は少し手狭なので近くにもう1ヶ所作業所を増やす予定とのことだ。
●地域との交流も盛んに行われている
地域や小・中学生との交流も盛んに行われている。一昨年、馬出公民館で行われた人権講座で障害者についての話をしてほしいとの依頼を受けた。その時松本さんの提案で、小・中学生、民生委員等の地区団体とジョブサポートの利用者が一緒に馬出地区のバリアフリーチェックをすることになった。秋ごろ地区を見てまわり、年度末には公民館で小・中学生による発表会も行われた。
このときから小・中学生との交流は続いている。ジョブサポートに体験学習に来たり、障害やバリアフリーについての勉強に来て、その発表会を行ったり。そこでつながりができた小学生が学校帰りに遊びによることもあるそうだ。また、小・中学校から依頼をうけ利用者が講師として赴くこともあ。
●これからは地域支援もやっていきたい
企業で働いている障害者のサポート・相談にも応じている。ジョブサポートで働いていた方が現在までに2名企業に就職されたとのことだが、お互いに情報交換を行っている。
そして企業で働く人の悩み相談、障害者を雇用している企業のサポート、企業で働きたい障害者のために情報を集めたり、一緒に面接に行ったりということにも取り組みたい、また今までは働くことのサポートが中心だったが、日常生活レベルや介助者への支援、地域支援などもやりたいということが目下の目標となっている。
松本さんは「ここに来ることで外へ出ていくきっかけになったり、いろんな人に出会うことの楽しさを知ってもらうことも効用の一つ」とおっしゃっていた。私がおじゃました日も4人仕事をされていたが、とてもいきいきしているなという印象を受けた。「働くこと」が生活の中で持つ意味の大きさを感じた1日だった。 (かじはら りか)
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