|
12月に入って、社会保険の医療費3割自己負担がなんとなく国会を通過した。これは自己負担率を上げるということだが、1970年以降、国会では無料化について検討されている医療費もある。それが、“小学校入学前の子どもの医療費は無料に!”という「乳幼児医療費無料化」の取り組みである。全国的なネットワークもあり、呼びかけ人の中にはマスメディアで活躍する著名人も多く含まれ、署名数は25万筆にもなるということだ。
現在の制度を簡単に説明すると、乳幼児医療制度といって、3歳未満児の医療費自己負担分は都道府県と市町村で負担することが全国的に行われている。近年の流れで言うと、乳幼児医療費無料化の取り組みがあることを受けて、3歳未満児から4歳未満児まで引き上げよう(この場合、市町村の判断となるため、市町村の全額負担となる)とする市町村が出てきだした。実は、私が計画策定のお手伝いをしている町でもこの動きがあるので、実際に年齢引き上げを行った場合にどの程度の町負担が出てくるのか調べてみたいと考えたのが表題の疑問を感じたきっかけだ。
ご存じの通り、医療保険には国民健康保険と社会保険がある。市町村でいうと、国民健康保険は市町村負担があるため、どの位の医療費がかかるか市町村も把握している。小泉首相が“レセプト”という専門用語をよく使うが、これは国民健康保険連合会から市町村に届く医療状況を示したもののことだ。また、多くが国民健康保険に加入している高齢者の医療費は市町村も把握しやすいため、問題にしやすいということもある。しかし、社会保険に関して市町村は一切その情報入手手段が無い(私が調べた限りでは無いと思っている。あれば是非教えて下さい)。
私は、「2歳児では現在この位の医療費がかかっており、3歳児ではこの位に下がるから全額助成する必要がない」のか、「2歳も3歳も同程度の医療費がかかっており大事な乳幼児期に医者にかかりやすい状況を整備しておくべきだから助成を行う」のか、その判断基準として、1歳刻みの医療費総額のデータが欲しかった。市町村にないとわかったからには、これは国に直接聞くしかないと思い、厚生労働省に電話してみた。
まず、厚生労働省の代表にかけて「乳幼児医療費のデータを...」というと統計情報部社会統計課にまわしてもらった。「そうか、そうか、データのことだから統計部ね...」と思いつつ、事情を説明すると、あるのかないのかわからないような返事で、別の課の内線番号を教えていただいた。再度、代表にかけ直し内線番号を告げると雇用均等・児童家庭局母子保健課につながった。再度事情を説明すると3歳未満児の乳幼児医療額(都道府県・市町村負担額)の合計ならわかるという答え。話を聞くと、乳幼児医療についての市町村アンケートの結果ならあるとのこと。それはいらないと伝え、次に教えていただいた保険局保健課に聞くため再度代表にかけ直しつなげていただいた。忙しい中親切に答えていただいたのだが、ここでも3歳未満の合計額(結局、補助金を支給している額)ならわかるが...という答えで、それは雇用均等・児童家庭局母子保健課に聞いて下さいといわれたので、「このようなデータは必要だと思うので調査して下さい」と告げ電話を切った。
乳幼児医療費無料化について、厚生労働大臣は2月国会で「先送りできない課題」としている。国が制度化して実施するのか、又は市町村が単独事業で行うのを睨みながら、徐々に制度化していくのかはわからないが、それにしても、せめて市町村単位までは年齢別の国民健康保険と社会保険を併せた金額を公表すると議論されやすく、制度化しやすくなると思う。何にしても実現化のためにはデータの裏付けが必要ではないだろうか。 (澤谷 真紀子)
|