|
12月8日の土曜日、佐賀市で観光振興に関する公開委員会を行った。昨年度から佐賀市の観光振興のお手伝いをしているが、これまでの活動報告を市民も交えた公開の場で実施することとなり、地元のテレビ局(CATV)によるお正月特番の収録も行うなど、通常の委員会とは違う形式で行った。
場所は、佐賀市の中心商店街の一角にある「エスプラッツ」という再開発ビルである。再開発関係の方々はご存じかと思うが、第三セクター「まちづくり佐賀」が運営していたビルであり、現在、関係各機関、地元企業によって再建への道を模索しているところである。
当日は土曜日の朝という時間にも係わらず、一般市民、観光事業者、まちづくり団体など150名の方々に参加していただいた。
最初にこれまで検討してきた委員会での成果を、佐賀の観光振興の問題や方向を含めて、委員長である立教大学村上先生、各部会長から報告していただいた。次に佐賀がこれまで取り組んできたこと、観光に取り組む市長の思い、そして参考とすべき地域での取り組み事例を紹介し、市民との意見交換を行った。
●佐賀のこれまでの取り組み
佐賀市は、福岡市まで特急電車で40分という距離にあることから、通勤している人も徐々に増加している。また福岡方面からのビジネス客も多く、数字上の観光客数は300万人と言われている。しかし、町を歩いていてもそれらしい人たちには殆ど会うことは無い。ビジネスホテルなどはいくつかあるが、いわゆる観光客向けのホテルや旅館なども少なく、宿泊してまでという人々も少ない。もちろん、まったく観光客がいないというわけではない。ひとつは、北部の脊振山地から有明海に至る広大な低平地を生かして、20年前よりバルーンフェスタ(熱気球の大会)が毎年開かれており、のどかな風景とマッチしたこの熱気球の浮かぶ姿をみるために、県内外から数十万人の人たちがこのイベントに訪れる。また、佐賀では、幕末・維新の時代にかけて活躍した人々を七賢人として銘打ち、対外的な佐賀のイメージづくりにも取り組んでいる。大隈重信をはじめとして、全国的にもその知名度は高い。さらに、昨年の春、歴史的建造物の残る柳町地区を中心として「佐賀城下ひなまつり」が行われた。伝統的な鍋島小紋のひなや鍋島藩に伝わるひななどが飾られ、期間中に4万人以上の人々が訪れ、50〜60代の女性たちは感嘆の声をあげていた。
今回の観光振興の目的は、このようなイベントを中心としたにぎわいづくりからステップアップして、観光という視点から一つの産業の柱づくり、まちづくりを進めるためにどうするかというものである。
●市民の日常生活との関わり
村上委員長の発言の中で、「佐賀のイメージがないということがアンケート結果で分かった。佐賀にはいろいろな資源があり、知名度の高いものもある。それなのになぜイメージが沸かないのか、佐賀に来ないのか。それはここに来る必然性が無いから、行ってみたいと思わないからである。」という指摘があった。つまり、これまでの見るだけの観光ではなく、ここに来る必然性を喚起するコトが必要であり、その答えの一つは、地元の人たちが楽しんでいるコト、たまに訪れる人も一緒に愉しめるコト、異なる習慣、言葉、文化を経験する場がこれからの観光行動に求められるということである。
●市民、業界、行政の二人三脚
冒頭の委員会報告では、佐賀市が取り組む3つの大きな方向として、観光資源の開発など場づくり、土産・食の開発によるモノづくり、人材育成・地元学など人づくりを示し、今後はこの委員会へいろいろな意見・注文を出してもらい、それを踏まえて進めていきたいという提案を行った。これからの観光振興にはこれまでのような観光施設を中心とする入れ込み型ではなく、むしろ市民の日々の生活と直結する楽しいコト、おいしいモノの情報発信と、お客さんと一緒に楽しむ場をつくることが重要である。今回、この公開委員会を行ったのは、市民一人一人の協力、賛同が必要であり、市民自らが観光資源の開発に参画してもらうきっかけをつくりたかったためであるが、市民からの意見として、こういう報告会を待っていたとか、もっと観光ボランティアの育成が必要である、などの意見が出され、終了後の市民の方々の表情も満足そうに見えた。(やまべ しんいち)
|