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最近になって、北部九州の2つの地区の歴史的町並み活性化のお手伝いをすることになった。歴史的建造物の修理や町並みに合わせた建物の整備など、ハード面は国などの事業によって進めることができるが、年々整備されていくハードの中に入れる“ハート”はどこの町並みも四苦八苦しているところである。
日田市豆田地区は江戸時代、九州における幕府の直轄地(天領)であり、代官のいる永山城(代官所)を中心とした城下町として栄えていたことから、古い町並みが残っていた。30年前ほど前までは人の少ない商店街でしかなかったが、この町並みを活かしたまちづくりによって年間約50万人の観光客が訪れる観光地となっている。
このまちづくりの中心人物である日田市観光協会会長の石丸邦夫さんに豆田地区のまちづくりについて貴重なお話をお聞きすることができた。石丸さんの取り組みは新聞掲載のほか、講演もされているので、ご存じの方も多いと思う。
石丸さんは日頃から客の訪れる町並みづくりと豆田町の核となる店を目指して、古い建物を活用した「珈琲談義所 嶋屋」を昭和57年に開業した。
●再生のために心がけたこと
石丸さんが豆田地区の再生に向けて心がけたということの要旨を以下に示す。
・「古い町並みを活かした個性的な商店街」というのが、豆田町の再生のテーマである。そのために日田らしさ、豆田町らしさを追求してきた。
・古い建物は保存するだけではダメだ。活用が必要である。文化財の集積である古い町並みは経済効果が伴わなければ壊れてしまう。
・自分たちのまちは自分たちで活性化し、“行政に頼らない”というスタンスが大切である。
●観光客は町を見に来るだけでなく人を見に来る
一般的に観光客は何に興味を持って町並みを訪れるかについて石丸さんの考えをお聞きした。
・マスコミが町並みを紹介する場合、“人”を取り上げることが多い。「あの町並みにはこんなおもしろい店、こんな取り組みをやっている人がいる」という取り上げ方である。人々が興味を持つのも最終的には多くの場合“人”である。
・これまで、自分をどう売り込んでいくかを考えた。自分の店を売り込むためには豆田に来てもらわないといけない。豆田をどう売り込むか。どうやったら豆田に人が来てくれるかを心がけた。結果、豆田町を訪ねてくる人は自分の店を訪れることになった。
・町おこしに大切なのは最終的には“人”である。また、町の活性化には“バカ”(町おこしに夢中になれる人、熱くなる人)が必要である。豆田地区には“豆田バカ”が私も含めて大勢いる。
●地域活性化のためのイベントの考え方
全国には数多くの歴史的町並みがあるが、イベントの時にだけ人が集まる町並みはたくさんある。しかし、地域の活性化のためには、日頃から経済効果のある町に変えていく努力が必要である。イベントに関して石丸さんの考えは以下のようであった。
・イベントは情報発信の場である。まちづくりの日頃の成果をみてもらう場(日頃の成果のお披露目パーティー)である。
・日頃の努力なくしてイベントをやるのなら、イベントの時にしか人は来ない。
豆田地区は再生へのステップを登り続けている。40店舗であった商店は観光客の増加に伴い、現在約100店舗近くになり、毎年2店舗ほどが新規に開店している。
石丸さんの言葉には、歴史的町並みの活性化に限らず地域活性化のためのキーワードが数多く散りばめられており、今回紹介できなかった部分もいくつかあった。これらのキーワードを歴史的町並みの活性化の参考にしていこうと思う。 (おだ こういち)
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