|
セミナーの翌日(第3セクター研究学会)、広松さんの案内で柳川の現在の堀割の様子を見学に行くエクスカーションがあった。西鉄福岡駅から特急で40分。水郷柳川に着いた一行は堀割を目の前にし、さっそく川下りの舟に乗り込んだ。
舟でゆっくりと進んでいくと、かつてこの堀割が生活に根ざしていたことが今も伺えた。住宅街の裏の路地が堀割となっているため、舟で移動する我々は裏路地をぬって進み、生活の一部を見せていただいた。各家の裏庭や勝手口からは、以前は水をくむために取り付けられた階段が今でも残っている。堀割はまるで自分の家の庭の一部であり、実際に川を挟んだ向こう岸にある庭に渡るための小さな舟が今でも係留されているところもあった。こんなにも風情のある堀割が20年前は汚れていたとはとても思えなかった。
●水の浄化に対する住民の取り組み
舟上では広松さんが水の浄化や住民の取り組みについて詳しく説明してくださった。
・よく生活雑排水を流すと環境に悪いといわれるが、生活雑排水に含まれる合成洗剤がバクテリアをなくしてしまうのであって、生活雑排水自体は微生物のエサになるので、ある程度流れることは必要である。
・また、自然保護の視点だけで「守らなければならない」と捉えるのではなく、食文化・生活文化の視点が大事だ。
・住民による活動では年に1回、一斉清掃活動が行われている。また、水利組合、清掃業者、住民グループで多いところは年に6回清掃をしているところもある。
しかし管理する側の意識の違いにより水の調節や手入れなどが行き届いていないところもあるようだ。当日も岸についている水位線よりも水が少ないところがあり、実際水位が低い場所と高い場所では水の澄み方が全く違った。広松さんはそのことを嘆いておられた。
●住民の手でイメージづくり
柳川といえば、川下り・うなぎ・北原白秋と誰もが思い浮かぶのではないか。私は初めてゆっくりと町の中を歩き、こんなにものんびりとした城下町が近くにあったのかと思った。現在川下りは7社、計270隻の舟で賑わっており、その中で最も大きな会社は50名以上の雇用があるという。20年前、堀割がなくなっていたら地域産業の発展もなかっただろう。堀割を自分の子どものように知り尽くし、愛する広松さんの思いが住民を動かしたことの大きさを実感した。
これらの地域の効果を考えたときに、町の資源である堀割を守ろうという住民の意識を継続させていくことが大事だと思った。 (あいこう みほ)
|