|
去る10月13日に志摩町で、カルフォルニア大学で環境心理学を研究されているロバート・ソマー氏が「なぜ人々はファーマーズマーケットが大好きか?」という内容で、小さな講演会を催された。
ファーマーズマーケットとは、産直農家の露天市場(百姓市)のことであり、志摩の朝市などが開催される志摩町の方々の関心は高く、ファーマーズマーケットの経営などについて、盛んに質問がなされた。
●ファーマーズマーケットのネライ
ファーマーズマーケットには3つのネライがある。1つめのネライは、小さな農家をいかに元気にするか、作物を直接、消費者に売ることで、どうやって収入を増やすかというものである。2つめのネライは、消費者にとっていいもの、安く新鮮で、香りの良いものを届けることである。3つめがコミュニティーにとってもいい環境を提供することである。人の集まる場所をつくり、野菜や果物を販売するだけではく、コミュニティーセンターなどを設置してガーデニング教室などの情報交換の場を提供することがネライになっている。
●ウィスコンシン州の事例
州議会のまわりでファーマーズマーケットを開催している。議会の公務員にも昼食のメニューなどが人気になっている。また、地元の人との交流拠点にもなっており、議会を身近に感じられる効果が生まれている。公共集合住宅は低所得者の住宅なのだが、住民に対してファーマーズマーケットのチケットを発行して、いいものを安く買えるような政策を行っている。
●カルフォルニア州デービス市の事例
デービス市は人口4万人ぐらいの町であり、公園を利用したファーマーズマーケットには、日曜日の天気のいい日には、50人〜70人ぐらいの農家が店を出し、5000人ぐらいの人が集まっている。
ファーマーズマーケットは、農家が直接消費者にものを売るために、いつの時期に何をつくるとよく売れるかというようなことを頭に入れてものをつくるようになり、旬のものをつくって売るようになった。
現在では、トマトだけでも15種類、なすびは20種類も販売されるようになり、農家が誇りをもって生産している。地域の作物で多品種・多品目を維持することで、遺伝子の多様性も守ることができている。 ファーマーズマーケットは新商品や新品種をためす絶好の場にもなっており、新しい商品の市場調査を行う機会を提供している。ズッキーニの花の部分などは、それまで捨てていたものだが、オードブルとして食べれることがわかると売れるようになった。このように実験的に新しいものを販売したりすることで、付加価値がでてきたり、収入が増え、自分の創意工夫によってかせぐことができることに多くの人が気づきはじめている。また、新商品や新品種は、消費者の味覚の幅を広げる効果もあり、カンボジアやタイからの移民が自国のチンゲンサイを売っていると、地元のレストランで取り扱ってもらえるようになった。ダチョウの肉も当初は、大きな市場では扱ってもらえなかったが、油分が少なくファーマーズマーケットで人気になると、大きなマーケットでも扱ってもらえるようになった。小さなカンガルーの肉は、まったく売れなかったのだが、すぐやめることによってそれほどハイリスクにはなっていない。
ファーマーズマーケットの消費者から、オーガニックな(有機農法でつくられた)野菜や果物のニーズが高まり、ファーマーズマーケットに出している農家がオーガニックの基準をつくり、カルフォルニア州が認めるという証明書を発行するようになった。証明書がつくと高い値段で売れるために、最近では大きなスーパーマーケットでも売られるようになっている。
ファーマーズマーケットは、地域の活性化に貢献していており、使用されなくなった建物の再活用ができたり、マーケットの周りにもお金が落ちるようになった。大きなスーパーの駐車場を使ったファーマーズマーケットもでき、スーパーにないものを売ることで客を集め、またスーパーもファーマーズマーケットによる宣伝効果や、スーパーでコーヒーを買ってマーケットを楽しむ人などが生まれることで、うまく共存共栄をしている。さらに、環境保護団体の活動コーナーもでき、資料などを展示したり、報告なども行っている。ファーマーズマーケットのイメージが良いことで、選挙の候補者が店とコーナーを出すこともでてきた。それによってファーマーズマーケットも支援され、さらに活性化している。 (ほんだ まさあき)
|