<よかネット>No.53 2001/09
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障害者と一緒の福祉マップづくり
〜ちょっとした工夫で利用しやすくなるトイレづくり〜

 平成11年〜12年度に福岡県新宮町の障害者(児)の計画づくりのお手伝した。この計画を策定する上で、「電車に乗るぞ・障害者の会」の代表者として長年、障害者が利用しやすい交通機関や公共施設について活動してこられた李さんにお会いした。障害者の困っていることや悩んでいることなどの話しを聞く中で、新宮町でも福祉マップみたいなものを作れないかといった話しをした。同じ時期にボランティアコーディネーターをしている内野さんも障害者が利用できるトイレの場所などを示したマップの必要性を感じていた。
 このような両者の思いが一致したことから、李さんの協力のもと町のボランティアセンターの呼びかけで、今年の4月より参加者20数名で「新宮町福祉マップをつくる会」を発足した。月に2回程度の頻度で調査をし、8月現在でやっとマップの原案ができそうなところに達している。
この福祉マップは、主に不特定多数の人が利用する公共的建築物(役場、金融機関、福祉施設等)や民間の店舗や飲食店に絞り、車椅子利用者や高齢者の方に対するバリアフリーの状況(出入口の段差、スロープの有無、トイレの状況、EVの有無、通路幅等)を調べたものある。
 私も障害者の方と一緒に調査をすることによって、普段では見落とすところを、気づかせていただいた。その一つがタイトルに挙げています「ちょっとした工夫でトイレの改造ができる」ということであり、その他、一緒に調査した中で少し印象に残っている点をご紹介したい。
●洋服店の更衣室、ATM(自動現金・預け入れ装置)ボッ クスは車椅子は利用できない
ある広めの洋服店で調査したときに気づいたことだが、試着用の更衣室にはゴミが入らないようにするためためなのか、必ず段差が設けられている。これでは車椅子利用者は一人では試着できないし、高齢者や足の不自由な方も不便と感じた。これなどは、段差を低くし、スロープを付ければ簡単に改善ができるものである。
 また、最近、別棟形式で2m程度四方のATMボックスが設置されいる。これも15〜20pの段差があり、車椅子利用者は全く利用できないものである。これらのケースは李さんたちと一緒に回っていると「これは利用できないね」という一言で気づかされるのである。

●バリアフリー化は公共の建物に比べて、民間は非常に遅れている
現在、福岡県や福岡市では「福祉のまちづくり条例」を制定しており、新規の公共的建築物のバリアフリー化はかなり進んできている。特にトイレは、多目的トイレという名称のもと、広さも2×2m程度の立派なものが整備されている。新宮町でも最近オープンしたコミュニティセンター「そぴあしんぐう」の多目的トイレでは、出入口の壁に設置されているセンサーに手を当てると自動的にドアの開閉ができるようになっており、照明も自動となっている。車椅子利用者には極めて便利がよい。 一方、民間の建物では出入口から段差があるもの、ましてトイレは狭いといった状況のものが多々あり、バリアフリーという観点からみると公共的建築物に比べて非常に遅れていると感じた。
これはオーナーの障害者に対する意識がないといったこともあげられようが、民間施設の設計者自身もバリアフリーに対する意識が弱いのではないかと思う。
私自身も20数年前に、一応は建築を学んだのだが、高度成長の時代でもあり、このバリアフリーという視点での教育は全くなされなかったと記憶する。今、設計者の大半は、工事費が少しはかかるバリアフリー対応の設計をオーナーに説得する意欲が最初からないのか、高齢者や車椅子利用者が活発に動き回っていることに気づいていないのかのどちらかであろうと思われる。
●車椅子利用者の方の宴会場所の第1条件はトイレ
車椅子を利用している障害者グループが宴会をする時の場所決めが大変らしいと教えてもらった。料理の種類や値段は二の次らしく、先ず車椅子でもスムーズに入れるトイレがあるかどうかが第1の条件となるようだ。私たちが調査した中で民間のレストランや居酒屋でトイレが入れるところは数件
ぐらいではなかったかと思う。トイレの出入口も広く段差がないトイレでも肝心のトイレブースのドア幅は50pと狭く、一人では到底利用できないものがほとんどである。
●民間施設のトイレ改造の提案
民間の施設、まして小さな店舗では公共建築物にあるような立派なトイレを設置することは不可能であるし、また必要がない。
 李さんに聞くと「最低限電動車椅子が入れる70p以上(電動車椅子の横幅約620p)のドアがあり、長さ 1.8m〜2.0程度(電動車椅子の長さ約105p)のトイレがあればよい」とのこと。
 レストランであれば客席のスペースを、1×1mだけ削ることによって車椅子利用者が入れるトイレができるのである。このことから民間施設では出入口の段差解消と併せて車椅子でも最低限利用できるトイレを設けて欲しいものと思う。(スペースの余裕があれば男女別々に)
調査している中でパチンコ店やレストランなどでスペースに余裕のあるトイレが見受けられたが、車椅子での利用は全く考えられたいないところもあった。
 そこで、調査した民間施設や古い公共施設の中でスペースには余裕があるものの、車椅子利用者のトイレがないものについて、改善案を考えてみた。当初より少し工夫すれば、車椅子利用者はもちろんのこと高齢者も利用しやすいトイレになるものと思う。
     (やまだ たつお)


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